全国救護施設協議会 平成19年度事業報告 T.事業の内容 1.社会保障、障害福祉施策改革などの動向を踏まえた、将来的な救護施設のあり方 について 救護施設の機能や今後のあり方について、「救護施設のあり方に関する特別委員 会」における検討結果をまとめた報告書、『救護施設の機能強化に向けての指針』 (以下『指針』)について、4月の総会において会員施設に諮り、承認を得た。  『指針』の内容を多くの施設に理解していただく必要性から、『指針』の頒布を行 いその普及を図り、ダウンロードができるよう全救協ホームページの会員専用ペー ジに掲載した。    『指針』の実行に向けて、後述する個別支援の推進、地域生活支援推進のための ガイドブックの作成等に取り組んだ。  2.サービスの質の向上を目指した救護施設の機能強化の推進   (1)自立支援の推進    @自立支援プログラムに係る取り組みの推進    A精神障害者の社会的入院解消に向けた取り組みの推進    Bホームレス等社会的援護を要する方の受入れの推進      『指針』において、自立支援プログラムに関して救護施設に期待される役割と     して、ホームレス等居宅生活支援プログラム、精神障害者社会的入院者退院促進     プログラムへの協力などが挙げられることを例示し、今後の積極的な取り組みを     提案した。また、救護施設を設置する自治体の自立支援プログラムの策定状況     や、救護施設のプログラムへの参画状況について情報収集を行うため、全国大会     第1分科会参加施設の協力を得て、アンケート調査を行った。     (2)利用者主体の個別支援に向けた取り組みの推進    @個別支援計画書の普及・活用の推進      「利用者主体の個別支援、サービス評価への取り組み」をテーマに、全国大会     第2分科会において、救護施設個別支援計画書を活用した利用者支援について討     議・研究を行った。実践発表、グループ討議により個別支援計画書の必要性、効     果的な導入・活用方法などについて他施設の状況を把握し、疑問点解消の一助と     なるよう図った。       計画書については、7月の増刷時に週間予定表の様式を新たに追加した(各施     設に1部配布)。希望施設に対しては計画書の有料頒布を行った。      (19年度頒布数:936部)    A個別支援の展開技術の向上及び各地区研修指導者の養成      救護施設個別支援計画研修会を実施した。個別支援計画の理解を深めるととも      に、作成技術の向上、各地区研修会の指導者養成を目的に講義・演習を行った。       なお、演習指導を実践的に体験するため、昨年度のステップアップコース修了      者が、未経験者・経験者コースの演習に参画した。平成19年8月24日(金)に研      修会運営委員会を開催し、研修会の運営等について事前確認を行った。    (3)地域生活支援を推進するための取り組み    @地域生活支援関係事業(保護施設通所事業、居宅生活訓練事業、居宅生活者ショ       ートステイ事業等)への取り組みの推進      「地域生活支援への取り組み」をテーマとした全国大会第3分科会において、       通所事業、居宅生活訓練事業などの実践報告を行い、取り組みにあたっての具体       的なノウハウ等の情報提供を行うとともに、効果的な支援のあり方について討議      を行った。       また、事業への取り組みがより推進されるよう、「地域生活支援関係事業ガイ      ドブック」を作成することとし、作業委員会を立ち上げて検討を行った。      《地域生活支援関係事業取り組みガイドブック作業委員会委員》       笈川雅行(制度・予対委員長)、大西豊美(制度・予対副委員長)       難波朝重(制度・予対委員)、三輪尚士(地域生活関係事業実施施設連絡       会幹事)、中村陽二(アメニティホーム夢野総務課長)       滝口裕子(大分県渓泉寮支援員)、江森幸久(更生施設民衆館施設長)      《作業委員会開催状況》       (第1回)平成19年9月21日(金)/商工会館             ・ガイドブックの内容と執筆分担について       (第2回)平成19年12月12日(水)/全社協会議室             ・Q&Aの内容について       (第3回)平成20年2月7日(木)/全社協会議室             ・ガイドブックの内容確認について    A地域生活支援関係事業実施施設連絡会の開催       昨年度までの「保護施設通所事業実施施設等連絡会」の名称を変えて開催し     た。居宅生活訓練事業、ショートステイ事業の実施施設も対象に加え、事業展開      に関する情報交換等を行った。更生施設も例年通り参加対象施設とした。         日  時:平成19年6月11日(月)         会  場:全社協 会議室         参加者数:79名(救護施設:56名、更生施設:23名)           (4)リスクマネジメント、サービスの質の評価等への取り組みの推進    @リスクマネジメントに対する意識の向上と実践手法の共有      「リスクマネジメントへの取り組み」をテーマとした全国大会第4分科会にお     いて、実践報告をもとに、各施設の取り組みの現状・課題等について討議・情報     交換を行った。    Aサービスの質の評価に対する意識の向上と実践手法の共有      全国大会第2分科会において、第三者評価を受審した施設より、評価を受ける     意義や今後の課題について課題提起を行った。 3.全国大会・研修会等の開催   (1)第32回全国救護施設研究協議大会の開催     期 日;平成19年9月13日(木)〜14日(金)     会 場;北海道札幌市「札幌プリンスホテル 国際館パーミル」     主 催:全国救護施設協議会 北海道地区救護施設協議会          全国社会福祉協議会 北海道社会福祉協議会     後 援:厚生労働省、北海道、札幌市、札幌市社会福祉協議会     テーマ;救護施設の機能強化にむけて     参加者:477名     内容 :@基調報告「救護施設の機能強化に向けて」森 好明(全救協会長)      A行政説明「生活保護制度をめぐる状況等について」        福母淳治氏(厚生労働省社会・援護局保護課長補佐)      B分科会      ・第1分科会「救護施設の機能強化の具体化に向けて」      ・第2分科会「利用者主体の個別支援、サービス評価への取り組み」      ・第3分科会「地域生活支援への取り組み」      ・第4分科会「リスクマネジメントへの取り組み」      ・第5分科会「利用者のQOL(生活の質)を高める支援」      C講演「セーフティネットとしての生活保護制度の今後のあり方」        木村陽子氏(総務省地方財政審議会委員)      D記念講演「自然保護の闘い20年の軌跡            〜知床自然遺産登録をめざして〜」        午来 昌氏(前斜里町長)   (2)平成19年度全救協経営者・施設長会議   期 日;平成19年4月26日(木)〜27日(金)   会 場;東京都内・全社協会議室   参加者:124名   内 容:@行政説明       福母淳治氏(厚生労働省社会・援護局保護課長補佐)      A講義1「障害者権利条約国連採択の経過とその概要」       長門利明氏(内閣府障害者施策担当参事官)      B講義2「これからの社会福祉法人経営の方向性」       栗和田 敏(全国社会福祉協議会企画部長)      C基調報告       森 好明(全救協会長)      D討議・意見交換   (3)平成19年度救護施設福祉サービス研修会     期 日;平成19年11月21日(水)〜22日(木)      会 場:東京都内・全社協会議室      参加者:95名     内 容:@講義1「救護施設を取り巻く他法施策の動向等」           野崎吉康(全社協障害福祉部長)          A講義2「近年増加する専門的支援を要する利用者への対応」          @発達障害のある方への支援            関水 実氏(よこはま自閉症支援室長)          A多重債務被害者の現状と対応策について            宇都宮健児氏(弁護士)         B講義3・演習「利用者主体の支援のための、利用者理解と援助者の           意識について」            福山和女氏(ルーテル学院大学教授)             (4)平成19年度救護施設個別支援計画研修会      期 日:平成19年10月24日(水)〜26日(金)      会 場:東京都内・灘尾ホール、全社協会議室      参加者:155名(未経験者65名、経験者64名、指導者養成26名)      内 容:@講義「救護施設個別支援計画書の考え方」            笈川雅行(救護施設における個別支援計画に関する検討会委員)          A実践報告「日常の支援と個別支援計画書」            @「救護施設個別支援計画の導入」田辺隆広氏(浦安荘・支援員)            A「個別支援計画スーパービジョンへの取り組み」                          河合龍紀(慈照園・主任指導員)          B演習TU「個別支援計画の作成」          C演習のまとめ         (5)第33回全国救護施設研究協議大会(東北地区)の開催準備     平成20年9月25日(木)〜26日(金)に、秋田県秋田市内の秋田ビューホテル他   にて開催することに決定した。 4.協議会組織の強化   (1)各地区救護施設協議会組織の活動の促進   全国レベルの活動との連携を強化しつつ、各地区協議会における諸活動の円滑な     運営を図った。各地区の大会において全救協より中央情勢報告を行い、直近の情報 提供に努めた。 《地区大会開催状況》    北海道地区  6月21日(木)〜22日(金)/北海道函館市    東北地区   6月13日(水)〜14日(木)/福島県郡山市   関東地区   7月5日(木)〜6日(金)/栃木県日光市    北陸中部地区 11月1日(木)〜2日(金)/新潟県新潟市    近畿地区   6月7日(木)〜8日(金)/三重県志摩市    中国四国地区 5月31日(木)〜1日(金)/広島県広島市   九州地区   7月12日(木)〜13日(金)/佐賀県佐賀市   (2)平成19年度永年勤続功労者表彰の実施  第32回全国救護施設研究協議大会開会式(9月13日、札幌市)において、79名の 表彰を行った。   (3)組織・財政の充実・強化     全国大会運営資金への積立を行った。   (4)平成19年度「全救協便覧」の発行     便覧を作成し、会員施設に配布した。   (5)義捐金活動      7月の新潟県中越沖地震で被害を受けたかしわ荘(新潟県)に対し、12月27日、     1,934,985円の義捐金を送った。     5.広報・情報提供活動の強化   (1)会報『全救協』の発行  制度・施策の動き、本会活動、各地区の動向、救護施設における取り組み事例、 全国大会報告等を関係者に広報するため会報『全救協』を発行した。  《発行状況》   125号(平成19年8月15日)    特集:平成19年度 総会・役員改選報告    126号(平成20年1月25日)    特集:第32回全国救護施設研究協議大会報告   127号(平成20年3月31日)     特集:生活保護制度の今度のあり方〜生活扶助基準の検証を行って   (2)制度・施策関連情報の提供  制度・施策に関する情報を迅速に提供するため、『全社協障害福祉部ニュース』 を発行し、送付した。(計13回発行)   (3)全救協ホームページの充実    全救協の事業や救護施設に関する情報提供、会員施設相互の情報交換等に資する よう、ホームページの更新、充実を図った。各地区大会、地区での研修会の開催状 況を報告するコーナーを新設した。また、「救護施設の機能強化に向けての指針」 を会員専用ページに掲載した。 6.制度・予算対策活動の推進 (1)生活保護制度の見直しに向けた対応   生活保護制度見直しの動向を注視し、関連資料・情報等の入手を行った。   (2)救護施設をめぐる制度等の改善および予算要望に向けた対応 21年度に向けての予算・制度改善要望事項について検討を行い、要望書案の作成 を行った。   (3)心神喪失者医療観察法への対応    継続して動向を注視した。  (4)全国社会福祉協議会・社会福祉制度・予算対策委員会における活動との連携 全国厚生事業団体連絡協議会予算対策委員会を通じて、全社協・社会福祉制度・ 予算対策委員会との連携を図った。 7.調査研究活動の推進   (1)平成19年度救護施設実態調査の実施    全国185施設(非会員施設含む)に依頼して実態調査を実施した(調査基準日: 平成19年10月1日)。   (2)情報収集アンケートの実施と活用    救護施設が行うさまざまな取り組みや、課題を把握するためのアンケートを、   会報「全救協」の送付に併せて実施した。    @125号に添付:全救協のHPについて    A126号に添付:指定管理者制度について   U.会務の運営 1.総会の開催   以下により定期総会を開催した。    期日  ; 平成19年4月26日(木)    会場  ; 東京都内・全社協会議室   出席状況: 出席施設数 111、委任施設数 69、欠席施設数 1 2.理事会の開催    (第1回) 平成19年4月26日(木)/東京都内・全社協会議室        ・平成18年度事業報告案、決算案について        ・総会の運営について        ・19・20年度専門委員会について        ・第32回全国大会の分科会について        ・「救護施設の機能強化に向けての指針」について   (第2回) 平成19年9月12日(水)/札幌市・札幌プリンスホテル        ・災害時の見舞金・募金について        ・HPの充実について        ・「地域生活支援関係事業取り組みガイドブック(仮称)」の作成に ついて        ・21年度に向けた制度・予算要望の取りまとめ方法について        ・救護施設個別支援計画研修会について        ・救護施設福祉サービス研修会について        ・平成19年度全国救護施設実態調査の実施について        ・全救協理事の交代について(中国四国地区)        ・平成20年度 各地区大会の日程について        ・平成19年度全国厚生事業団体連絡協議会研究会議の開催について   (第3回) 平成19年12月7日(金)/東京都内・全社協会議室        ・第32回全国救護施設研究協議大会報告        ・新潟中越沖地震義捐金報告     ・21年度予算・制度要望に向けての対応について        ・地域生活支援関係事業取り組みガイドブックについて        ・救護施設利用者の通所サービスの利用について(報告)        ・個別支援計画研修会報告        ・救護施設福祉サービス研修会報告        ・平成19年度全国救護施設実態調査について        ・厚生協研究会議の運営について   (第4回) 平成20年3月7日(金)/東京都内・全社協会議室        ・理事定数の見直しについて        ・全国大会運営積立金の19年度積立額について        ・第33回全国救護施設研究協議大会について        ・平成20年度経営者・施設長会議の内容について        ・平成21年度に向けての制度・予算要望事項について        ・地域生活支援関係事業ガイドブックについて        ・救護施設個別支援計画研修会について        ・平成19年度事業進捗状況及び補正予算案について        ・平成20年度事業計画案及び予算案について 3.正副会長・委員長・地区会長等会議の開催  今年度は開催せず 4.専門委員会の開催 (1)総務・財政・広報委員会   (第1回)平成19年6月18日(月)/全社協会議室        ・平成19年度事業の実施について        ・第32回全国大会の運営について        ・会報「全救協」の内容等について        ・HPでの研修会開催に係る情報提供について  (第2回)平成20年2月20日(水)/全社協会議室        ・平成19年度事業進捗状況および補正予算について        ・平成20年度事業計画案及び予算案について        ・全救協理事の増員について        ・第33回全国大会の内容について        ・平成20年度経営者・施設長会議の企画について (2)制度・予算対策委員会   (第1回)平成19年7月9日(月)/全社協会議室         ・地域生活支援関係事業の推進について         ・制度・予算対策活動の推進について   (第2回)平成19年12月3日(月)/全社協会議室         ・21年度予算に向けた制度・予算要望について   (第3回)平成20年2月8日(金)/全社協会議室        ・平成20年度事業計画案について        ・21年度予算に向けた制度・予算要望について (3)調査・研究・研修委員会   (第1回)平成19年7月27日(金)/全社協会議室         ・救護施設個別支援計画研修会について        ・救護施設福祉サービス研修会について        ・平成19年度救護施設実態調査について   (第2回)平成20年2月13日(水)/全社協会議室        ・平成20年度事業計画案について        ・第33回全国大会分科会の内容について 5.その他必要に応じた会議の開催   (1) 3障害に対応するサービス提供のあり方に関する検討会(障害福祉部)への参 画       障害者自立支援法における、3障害に対応するサービス提供を具体化するための 方途を探ることを目的に、その可能性や課題について検討する検討会を障害福祉部 内に設置した。3障害に対するサービスを既に提供している立場から、本会も検討 会に参画した。検討会は4回開催された。       《検討会委員》        荻原喜茂 (委員長/国際医療福祉大学教授)   尾上義和 (全国精神障害者社会復帰施設協会 制度・政策委員長)   長谷川浅美(日本知的障害者福祉協会 授産施設分科会副座長)   小野幸弘 (全国社会就労センター協議会 制度・政策・予算対策委員)  北尾慶子 (全国身体障害者施設協議会 地域生活支援推進委員)  笈川雅行 (全国救護施設協議会 制度・予算対策委員長)       8 1